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1994年度(平成6年度) | 資料集 | 大分県産業科学技術センター

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(1)

平成6年度 研究報告 大分県産業科学技術センター

(10)圧縮変形におげる超音波の影響

材料開発部 鶴 岡 一 廣

要 旨

非定常変形の圧縮加工に超音波振動を適用するための基礎研究として、圧縮加工において、チタン酸ジルコソ酸鉛

磁器製のボルト締めランジュバン型振動子による超音波振動を付加した場合の挙動について研究を行っている。本報

告書では側面を拘束しない状態でアルミニウム材にパンチを押し込んだ時の超音波付加出力による変化、振動モード

による差違等について検討を行った。

その結果、加圧速度V=5m

m

/Sec、圧下量gs =如m

の条件で、①最大超音波付加出力Em

ax≒600W

で約27%の押圧

荷重の低下がみられた。②振動振幅が最大の振動モードの方が押圧荷重の低下が著しい、等がわかった。

子に付加する。振動子は周波数約20k重態のチタン酸ジル

コソ酸鉛磁器製のボルト締めラソジュバン型振動子(日

本特殊陶業㈱製、D4520)で、この振動子より発振器へ

の反射入力(Er )の差が負荷吸収電力となる。振動子の

エネルギー変換効率を考慮すると、っ実際に試験片に付加

される超音波振動はこの負荷吸収電力と異なるが、ここ

では負荷吸収電力を付加超音波出力(E)とした。 1.緒 言

超音波振動を金属の塑性加工に適用すると、加工荷重

の低減が図れることが報告されている。しかし圧縮加工

は非定常状態の変形であり、安定した超音波振動の適用

を困難にしている。そこで圧縮を伴う加工に超音波振動

を応用するための基鍵研究として、アルミニウム材の圧

縮試験において、超音波転勤を付加した場合の挙動につ

いて研究を行っている。

これまで、チタン酸ジルコソ酸鉛磁器製のボルト締め

ランジエバソ型振動子を用いて、純アルミニウム材の単

軸圧縮試験において、超音波振動付加による効果の有無、

加圧速度および振動モードの影響について検討した。そ

の結果超音波出力E=200Ⅶの条件で、①プラハ効果に

よると思われる材料の変形抵抗の減少、②潤滑剤がない

場合、振動振幅最大の振動モードの方が効果が大きい、

③振幅拡大率R=1と3のあいだにはほとんど差はない、

④潤滑剤を使用した場合、プラハ効果に比べて摩擦低減

効果の方が大きく汗振動応力最大の振動モードの方が効

果的である、などの知見が得られた1)2)。

しかし超音波出力を大きくした場合については検討が

不十分である。そこで本報告書では、ホビソグ加工のよ

うに治具との接触面積が大きい圧縮加工に適用し、振動

モードや超音波出力の大小についての検討を行った。

囲頂 超音波党旗◎計測概略

振動子の共振周波数の設定、および発振器と振動子と

の整合は、まず高周波発振器(日本イーーー・・≡エヌ℡アイ㈱

社製EG毘一1600B)の周波数調整により、出力表示メー一

夕一に示される負荷吸収電力が最大となる共振周波数を

設定し、次に進行渡出力と負荷吸収電力とが一致するよ

うに、整合器で負荷整合インピーダソスを調整する。

振動子、コ∬ソ、ホーソからなる振動系ほ、コーンお

よびホーンの材料中の音速度を5100m/Sec,振動周波数

を20kHz として構成しており、コーンは軟鋼材で、全長

は約1/2波長の13伽mとした。加圧部のパソチ(ホーン)は

ダイス鋼を使用し、コ【ソとの結合はネジ固定で、必要

に応じて交換が出来るようにした。

2E 実験方法

2.1 実験装置

超音波振動の付加棟構は図1に示すように、高周波発

振器からの進行波出力(Ef )を周波数整合器を通して振動

(2)

平成6年度 研究報告 大分県産業科学技術センター

kHz 付近に、パソチHL130では、f =21。60kHz 付近に整

合点があった。 パソチは試験片接触部分で振動応力が最大となる振動

モードに対応したパソチHL65(長さHL=65m汀l )と、最小

(振動振幅が最大)となる振動モ劇1ごに対応したパソチH

L130(長さHL=130mm)を作製した。振動子、コーソは

フラソジ部を除いて申50m郡の円柱状とし、パンチは端面

径申15mm(振幅拡大率R=1りとした。超音波振動は振動

子からコーン、パソテを経て試験片へ付加される。受圧

板の加圧端面は、受圧坂端面での摩擦低減効果の影響を

短刀少なくするために、図2に示すような凹凸形状とし

た。

2.2 実験条件

試験片はアルミニウム材(Al O

50ぺBDH

24)から¢20

×1如mに削り出し試験に供した。この試験片に、外周を

拘束しない状態で、パンチ(端面径垂15mm)を押L込み、

師匠荷重と超音波出力変動を測定した。超音波出力は最

大付加出力がEm

ax≒300、450、600W

になるように設

定した。押圧速度は既報2)の結果より、Ⅴ=5mm′ /′ s ecと

Lた。

また整合設定荷重をP=20kNとしたことから、搾圧

初期の予荷重Pr =0さ3、1翫2髄創成ついて検討Lた。

迂下量は試験績の夕=スヘッドの移動量を計測Lている

ために、パンチやコーンの弾性変形量を考慮Lて、予荷

重Pr =0亡3kNの場合は圧下量ノ㌔s =4。如隅、Pr =10、20 kNの場合はぜs =如mに慧▼冠Lた。

12が

1200

パンチ

(ポ叫ン)

\鞭

f ダ \\

、 \ !

試験片

パ ノカ2ご量

畏志脛定』

受圧板端面形状 罰望 遠音波振動腎カロ庄治異

振動系仁パソテHL65、およ甘梢ユ錐を取り付ゆた状

態のインピ【ダンスを計測した結果、フランジを膚定L

ない場合の共振周波数はぎr =19。3kHz 近辺であった。

フランジを固定し、試験片に荷重P=20kNをかけた状

態でぅ 高周波発振器による周波数調整およびインピ血ダ

ンス整合を行った場合は、パンチHL65でほ、f =21。7ヱ

3。嚢験結果および考察

振動振幅が最大となる振動モード㌍L130と霹動応力が

最大となる振戟モード㌍L65の場合について、予荷重を

パラメmタとして、最大超音波出力と最大荷重の関係を

示したのが図3、4である。囲3に示すように振動モー

ドH工.130の場合は超音波振動付加による効果は明らかに

押圧荷重の減少として現れている。その減少量は、最大

P二r el oa〔蔓

む:0。3kN 盈:i OkN X;20kN

記号

両︺紹○、岬

Pr el oad. 窃:0−3kj Y 畠:10kN 米:20kN

200 400 600 800 Sor l i c Po慎一er //Ⅳ

0

200

400

600

800

Soni c Poweヱ、/萌一

回考 最大超音波出力と最大搾圧荷重

(振動モードHL65)

叫 69一

詔3 最大超音波出力と最大押圧荷重

(3)

平成6年虔 研究報告 大分県産業科学技術センター

0

0

4

3 Pr =20 E=0 】 Ⅳ

0 0 0 0 0 0 6 4 2

詮\↑じき

O

d

U

U O S 0 0 2 1

之よ\

P

C

HL=65

E=600 一▲一

E=450 0 0 0 0 0 0 6 4 2

詮\・芯臣○︵山

じ再

U

O

S

1 2 3 4 5

Di s pl acem

ent /皿m

図5 超音波出力

0 1 2 3 4 こ)

Di s pl acement /m皿

図6 押圧荷重と超音波出力

は、超音波付加出力がEmax≒200Wと小さかったこと

が原因であると推定できる。

この振動モードによる差違をみるために、予荷重Pr

=0.3kNの場合について、超音波出力と圧下変位の関係

を示したのが図5である。これから、振動モードHL65

の場合は全圧下範囲においてほぼ安定して、超音波出力

Emax≒300、450、600Wが付加されているが、振動モー

ドHL130の場合は最大値超音波出力Emax≒300、450、

600Wに対して、最小値はそれぞれEmi n≒80、120、150

Ⅶとなっており、押圧荷重が最大となる近傍で超音波出

力がほぼ最大値となっている。

このことば超音波振動は押圧時に荷重が最大となる付

近で超音波出力が最大となるような設定であればよいこ

とになる。

また圧下量変位に対する押圧荷重及び超音波出力の変

化を、予荷重をパラメⅥタとして、最大超音波出力

Emax≒600Wの場合について示したのが図6である。

これから、振動系の整合調整時の設定荷重をP=20kN

としたが、押圧荷重および超音波出力において、この条

件範囲では予荷重による差違は見られない。これは設定

荷重が最大押圧荷重の約70%と大きいため変動が少ない

と思われる。しかし圧下量が長くなった場合即ち最大押

圧荷重が整合調整時の設定荷重に比べて大きくなった場

合の挙動については今後の課題である。非定常状態の塑

超音波出力Emax≒3001Vで約19%、600Wで約27%であ

る。一方振動モードHL65の場合は、図4に示すように

その減少量は小さく、最大超音波出力Emax≒6001Vで

約6%程度である。

超音波振動の塑性加工特に圧縮加工において、被加工

部の振動振幅が最大となるような、超音波振動の往復動

作による高速繰り返し衝撃作用を利用する方式と、振動

応力が最大となるような、超音波振動により発生する振

動応力の重畳作用を利用する方式とがある。一般的に超

音波振動を付加した圧縮加工においては、被加工部で振

動応力が最大となる位置が最大効果を発揮するとされて

いる㌔

しかし本実験の振動モードHL130(振動振幅最大)、

HL65(振動応力最大)に関する結果からは、振動振幅が

最大となる振動モードHL130の方が押圧荷重の低減率が

大きくなっている。

これは試験片の寸法から被加工部が正確に応力振幅、あ

るいは振動振幅が最大となる位置にはないが、パンチと

の接触面積が大きい押圧試験において、摩擦抵抗の低減

効果が大きく現れたと考えられる。

このことから前報1)の荷重低減効果において、両端面

を凹凸のパンチで圧縮した場合は振動振幅最大の方が、

一方一端を平面パンチとし潤滑剤を使用した場合には振

動応力最大の方が効果的であるといった結果となったの

(4)

平成6年度 研究報告 大分県産業科学技術センタ山

(4)予荷重による押圧荷重、超音波出力への影響はみら

れない。

今後の課題として、振動振幅が最大の振動モードでの

整合設定荷重と超音波振動付加出力の変イヒ、圧下量を長

くした場合の押圧荷重の増大に伴う超音波振動付加出力

の変イヒなどについて検討を行う。

また超音波振動付加の効果を最大限利用できる超音波付

加条件やそのための方法、振幅量の計測方法を検討し、

超音波振動の非定常状態への利用を検討する。 性加工において、確実に超音波振動の効果を得るように

するためにほ最大押圧荷重時に超音波出力が最大になる

ように整合設定を行う必要がある。

鼻 緒 言

超音波振動の塑性加工時に圧縮加工への応用を図るた

めに、アルミニウム材(Å1050一塁DH24、¢20× 16mm)

に、パンチ径申15「〔mで、揮圧速度Ⅴ=5mm/Sec、圧下量

ぜs =如mの条件で、外周を拘束せずパンチを押し込む超

音波振動付加押圧試験を行った結果以下の知見を得た。

(1)超音波振動付加出力Emax≒600Wを付加すること

によって、押圧荷重が最大27%低減した。

(2)振動振幅が最大の振動モードの方が超音波振動付加

の効果が大きい。

(3)振動振幅が最大の振動モードの場合、超音波出力は

押圧荷重とともに増大し、押圧荷重最大の付近で出力が

最大となる。

参考文献

1)鶴岡一廣:平成5年慶大分県産業科学技術セソタ一

研究報告、(1995)、8。

2)鶴岡一贋:平成4年度大分県工業試験場研究報告、

(1993)、6。

3)例えば(社)日本電子激機工業全編:超音波工学、コ

ロナ社、(1993)。

参照

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